
どうも、メケです。
本日は湊かなえさんの小説「告白」です。
この本、私何も先入観なしに読み始めました。ところが、最初のプールのシーンで以前映画で見た記憶が蘇ってきました。松たか子さんが出ていた映画(たぶん映画です)。とは言え、ほとんど覚えてなかったです。
感想
とにかく怖い。
この小説に出てくる森口先生の復讐のしつこさが怖い。どこまでも蛇のように獲物を追いかけてくる。舌で匂いをかぎ分けながらか追いかけてくる。振り返ると射程内。すぐさま捕まり、わが身を巻き上げられ苦しい。じわりじわりと締め上げてくる。息が苦しい。そして一気に「バキバキバキー」って背骨の折れる音がする。痛い。でもまだ生かされてる。早く死なせてくれー。みたいなそんな怖いミステリーでした。
湊かなえさんの文章は好きか嫌いかで言えば、好きな方ではないなー。文章が怖い。狭い狭い穴の中に吸い込まれていくような、そんな感じのする文章でした。冷徹というか、なんとなく、冷たいです。離したようなひんやりする文章でした。文章と読者の間に微妙な距離を感じる。
だけど、のめり込んでいくんですねー。怖い。
この本は有名なので「ウィキペディア」にも載ってます。詳細はそちらを見ていただければOKですが、それだと完全にネタバレなので読んでない人は見ないほうがいいでしょう。
以前に「ミステリーがすごい」でランキング1位になって、後に本屋大賞を取った作品でもあります。
ざっくりと私なりのあらずじ さわりだけ

森口先生は中学校の先生で、1年B組の担任。 シングルマザー。 夕方娘の愛美ちゃんを見てくれる人がいないときは、学校へ連れてきて保健室で待たせていた。事故はそんなときに起こった。ある時、愛美ちゃんが学校のプールで溺死体で発見されたところから話は動き始めます。
結構早い段階で話は動きます。
1年生の1学期のできごと。警察は事故ということで捜査は打ち切られることに。
1学期の終業式が終わった帰りのホームミーティングで森口先生は「先生をやめる」とみんなに伝えた。「もう今日がみんなとは最後です」と。そして、「あの事故は殺人事件だった」と告げた。クラスに動揺が走る。そして「その犯人はこのクラスのAくん、Bくんの二人だ」と。
名指しではなく「AくんBくん」って、いやらしーわ。あー怖い。森口先生。
そしてその事件のいきさつと詳細について、森口先生は話し始めた。AくんBくんは誰なのか、クラスのみんなは察しがつく。AくんBくんは「森口先生は全部知っていたんだ」と青ざめます。そして、森口先生は「AくんBくんの飲んだ牛乳の中に、HIVを発症している元旦那の血を混入した」と告げた。
ホームミーティングでですよー。
しかももう、牛乳飲んだ後だしー。
Aくん、Bくんたちはもう生きた心地はしてなかったでしょうねー。
そして森口先生はクラスのみんなに「他言無用」と口止めした。
このクラスの中だけ(密室の中)でこのミステリーは進んでいきます。
いやー、コレだけでも怖いですよねー。
何がおもしろかったか
森口先生が殺人事件にせずに事故にしたところ。
すでにこの時点で怖い。
そして森口先生はこの後、最後の章まで登場しないんです。
なのにこのミステリーはどんどん闇に入っていくんです。
コレは完全に森口先生がAくん、Bくんに復讐をするために仕組んだワナ。
生き殺しだわー。
森口先生は二人がいつHIVを発症するかビクビクしながら、死の恐怖を感じながらこの先生きていけばいいと思ってたんでしょうねー。
怖いですねー。
二人(AくんBくん)は自分たちが「愛美ちゃんを殺った」と親に言ってない。だからなおさらHIVに感染したなんて口が裂けても親には言えない状態。
2学期に入ると直樹(Bくん)は家に引きこもる。修哉(Aくん)はクラスのみんなから制裁の名を借りたいじめに合う。そしてもうひとり学級委員の美月も修哉の仲間とみなされていじめにあうことに。
残酷だー。
そして2学期から担任になった自称ウェルテル先生と学級委員の美月が、これから起こる事件のキーマンに。
次々と人が死んでいく。
ミステリーだ。
コワおもしろい。
何がおもしろかったか、2
この二人、実はHIVに感染してなかったのだ。
そこで読んでて「なぜ???」と疑問が湧く。森口先生は「牛乳に混ぜた」と嘘をついたのか?とか、ならなぜそうしたのか?とか・・・。
「?」がどんどん「???」となって、小説にのめり込んでいくんですよねー。
直樹は異常なマザコン。自分は母の失敗作だと思っている。父は家庭内に無関心。
修哉は実母からのDVが近所の人に発覚し親は離婚へ。父に引き取られる。修哉の実母への異常な承認欲求。
このそれぞれの家庭内での親子の歪(ひずみ)が次々と殺人事件に発展していく結果に。
実際には2学期からは森口先生は出てこないんですよ。森口先生とは離れたところでどんどん話があらぬ方向へ進んでいくんです。
2学期の終業式の日、みんなの集まる体育館ごと自作爆弾で修哉は爆破を試みる。
しかしその前に実母に会いに行った修哉は、愛してやまなかった実母が「他の男と再婚し、みごもっている」ことを知る。自暴自棄になって(自分の方を見てもらおうと)自作爆弾のスイッチを押す。しかしその爆弾は爆破せず、修哉の実母の務める大学の研究室ごと吹き飛ぶことに。
なんと最後に森口先生がでてきて、すべてを修哉に話すという、「爆弾は私が移動させた」と修哉に告げたところで話は終わる。
おーーー、怖い。
直樹は母を包丁で刺しころし、修哉は実母を爆弾で吹き飛ばし、美月は修哉に首を絞めころされた。
僕の中では「おーい、熱血ウェルテル先生ー、めちゃくちゃやん」って言いつつ読んでいたな。
結局はウェルテル先生は「森口先生に直樹や修哉のことを相談しに行ってて、いいように森口先生に操られてた」っていうことでした。
終わってみれば、殺人事件だと13才は自宅観察処分。事故扱いにして「じわりじわりといたぶる」ほうが怖いですよね。
実際にもしも自分が先生してて、自分の子が我がクラスの生徒に殺されたとしたら、正気の沙汰じゃぁ収まりませんよね💦 気が狂います。 先生の前に一人の親ですから。 今までこの子らに何を教えていたのか、なんか先生するのがバカらしくなったり、怖くなってその日から学校行けないでしょうね、きっと。
森口先生は愛美ちゃんの葬式の後、学校へは出てきて同じクラスで教えてましたから、そういう意味でも怖い。
まとめ
というわけで、この本Kindleで読んだんですけど一気に読んでしまいました。
いや、おもしろかったです。
ごちそうさまでした。
最後まで読んでくださいましてありがとうございました。
ほんじゃぁね。