七つの会議 池井戸潤

どうも、メケです。

 

今回は池井戸潤さんの七つの会議です。

実は映画館で見たことがあります。

居眠り八角(はっかく)が自社東京建電のリコール隠しを良しとせず、社内の隠蔽体質を何とか建て直そうとしていくストーリーだったように記憶しています。

野村萬斎さん演じるあの八角さん、格好よかったですよ。

 

今にして思えば野村萬斎さんの演技が良かったってのもあるんですけどね。あのぐうたらで万年係長のうだつの上がらない居眠り八角が、社長のいる御前会議まで乗り込んできて、たんか切るんだから、そりゃぁ格好いいですよ。

 

 

 

読む前の印象

実はこの小説も、映画同様に7つの会議の中で八角さんが格好よく立ち回っていくのかなと思っていたんです。

実際は違っていました。

映画では中村萬斎さん演じる「八角」をメインに前面に押し出したヒーローものストーリー。

小説では登場人物それぞれにストーリーがあり、濃く描かれていました。それらも含めての「社内政治」というか「駆け引き」というか、八角の立ち回りというか、映画ほどシンプルな感じではなかったなぁ。

とはいえ、ストーリーの半分以上は「八角」さんが主役かな?といった感じのストーリーでした。

 

実際読んでみて

この小説では、その章ごとにそれぞれの登場人物で主役になるような人がいました。各章でその人物にスポットが当たっていました。話が後半に進んでいくに連れて八角さんの登場するシーンは多くなってました。

 

各章でその人物にスポットがあたっていた分、八角さん周辺の登場人物への思い入れが強くなり、映画よりも印象深い小説になりました。

 

うだつが上がらなさそうに見えて実はできる八角、だからといって図に乗らないところがかっこいい。

 

こういう八角さんのような人って、実はリアル社会では上司に好まれず、冷や飯食わされてる人多いんだよなあ。こういう人って部下には人気あるんだけどね。会社員には向かない社長タイプの人は独立するケースもあるよね。

 

同じリコールを題材にした空飛ぶタイヤと比較して

空飛ぶタイヤは赤松運送の社長が次々訪れるピンチを何とかしのいで、最後大逆転に持っていくというハッピーエンドなストーリー。

一方、七つの会議では、それぞれの登場の背景が濃く描かれており、その辺がとても印象的。空飛ぶタイヤではそこまで深くは描かれていなかった。

 

この人物像の描かれ方の深さ加減が、この空飛ぶタイヤと七つの会議の2つの小説とでは大きく違うかなと思う。。

 

小説七つの会議での登場人物 

営業一課長を更迭された東京建電のエース坂戸、常に2番手を走らされてきた、営業2課長原島たちが運命のいたずらか、陽と陰の立場が途中で逆転することに。

 

経理課長代理新田と品質保証室室長佐野がリコール問題隠蔽に気づき水面下で調査を実施する。この時の社内政治のウマさ加減が新田と佐野とで両極的で面白い。この辺からうだつの上がらない万年係長八角が登場し始める。

 

居眠り八角ことうだつの上がらない営業部営業一課係長八角と、営業部部長でありながら八角に頭の上がらない北川。この2人の個性も対照的でおもしろい。

社内政治によって営業部次長職まで上りつめていたが、今は品質保証室室長として冷や飯を食わされている佐野。八角は交渉ごと駆け引きにおいても佐野のさらに1枚上を行っていた。

 

規格外不良品と知りながらネジを東京建電に出荷していたトーメーテックの江木社長と八角の駆け引きもおもしろかった。 

 

全てにおいて、八角はみんなよりも1枚上手。しかも営業部長北川に一目置かれている。なのに万年係長でうだつが上がらないという、このギャップの大きさがおもしろい。

 

ざつくりあらすじ

実は北川部長に一目を置かれているというのには理由があって、この二人は元々同期入社であり、八角は北川を差し置いて同期トップで係長昇進を果たしていた、実は仕事のできる人物。八角は北川の隠蔽工作(知られたくない裏事情)も握っている。

 

八角は何とか社内告発に留めて、社内組織の隠蔽体質を何とか立て直して欲しいと願っていたがかなわず。最終的には週刊誌にリークさせて大リコール問題に。

東京建電の親会社ソニック社は東京建電を解体。リコールの残務処理専用に営業一課のみ残し、東京建電として存続。 

新会社設立時に部長代理職の話があったが、八角はそれを断り、東京建電営業一課に残ってリコールの残務処理を選んだ。

 

野村萬斎演じる映画上での八角もよかったが、この小説でも図に乗らない八角は格好いい存在であった。

 

まとめ

この小説はそれぞれの人物にスポットライトがあたっていて、それぞれの背景を知った状態で読むところが結構濃いというかおもしろかったです。

にしても池井戸潤さんの作品ははやぶさ消防団にしろ、空飛ぶタイヤにしろ、七つの会議にしろ主役が格好いいですね。見ててスカッとする。

最後は必ずハレバレしい気持ちで読み終えることができます。

 

最後に

今回の七つの会議、池井戸潤さんの小説、ごちそうさまたでした。

 

おもしろかったです。

 

いつも最後まで読んでくださいましてありがとうございます。

ほんじゃあ、またね。

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